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不動産売買で境界トラブルを防ぐには? 事例から学ぶ回避策と売主買主の注意点

不動産売却

岡部 功大

筆者 岡部 功大

代表(宅地建物取引士)
不動産業界に携わって10年以上!
金沢市の不動産市場を把握し、お客様に分かりやすい査定価格のご提案をしています。


不動産の売買で、あとから「境界でもめた」といった話を耳にすることは少なくありません。
けれども、事前に正しい知識と確認のステップを押さえておけば、境界トラブルの多くは防ぐことができます。
本記事では、「不動産売買 境界 トラブル 事例」をテーマに、売主・買主それぞれの立場から、どこに注意すべきかをわかりやすく整理します。
そもそも境界とは何かという基本から、契約書で見るべきポイント、さらに具体的な予防策まで、順を追って解説していきます。
これから売却や購入を検討している方は、ぜひ最後まで読み進めて、境界トラブルを未然に防ぐヒントとしてお役立てください。

不動産売買と境界トラブルの基本理解

不動産売買における「境界」とは、自分の土地と隣地との区切りを示す線や範囲のことです。
法的には、不動産登記法に基づき筆ごとの区画を示す「筆界」と、民法上の所有権の範囲を示す「所有権界」があり、両者は原則として一致するとされています。
しかし、過去の分筆や口頭での土地のやり取りなどにより、登記記録上の筆界と、実際に利用している所有権界がずれてしまう事例も少なくありません。
そのため、不動産売買では、登記や測量図だけでなく、現地の状況も含めて境界の意味を理解しておくことが大切です。

境界があいまいなまま売買を進めると、隣地所有者との間で土地の範囲を巡るトラブルに発展しやすくなります。
典型的には、ブロック塀やフェンスなどの工作物が実際の筆界より越境していたことが、引き渡し後に判明するケースが挙げられます。
また、公簿面積どおりのつもりで契約したのに、実測すると境界の位置が異なり、面積が想定より少なくなることが問題になる事例も見られます。
こうした状況は、境界標の欠損や古い測量図のまま取引してしまう場合に起こりやすいと指摘されています。

境界トラブルが起きた場合、売主側は契約で約束した範囲の土地を引き渡せていないと評価され、債務不履行を問われるリスクがあります。
判例でも、筆界と異なる所有権界で引き渡した結果、買主から契約解除や損害賠償を求められた事例が報告されています。
一方、買主側にとっても、取得したと思っていた土地の一部が自分の所有ではなかったことが後から判明すれば、建築計画の見直しや近隣との協議など、多大な時間と費用の負担が生じます。
そのため、売主・買主の双方にとって、境界を明確にしたうえで売買を行うことが、余計な紛争を避ける最も重要な予防策になります。

区分 内容 売買への影響
筆界 登記記録上の公的境界 土地の基本的な範囲の基準
所有権界 所有権が及ぶ実際の境界 引き渡し義務の判断基準
境界トラブル 筆界と利用状況の不一致 契約解除や賠償請求の原因

境界確認の流れと不動産売買前のチェックポイント

不動産売買の前には、まず土地の境界がどこにあるのかを段階的に確認することが大切です。
一般的には、現地で境界標の有無や位置を確認し、登記簿や公図、測量図などの図面と照らし合わせます。
さらに、隣地所有者との境界に関する認識も合わせて確認し、必要に応じて書面で記録を残しておくと、後の誤解や紛争を防ぎやすくなります。

境界について不明な点がある場合や、図面と現況の位置が合わない場合などは、土地家屋調査士への依頼を検討する必要があります。
土地家屋調査士は、測量や境界確定に関する専門知識を有しており、隣地所有者との立会いのもとで境界標の設置や位置の確認を行います。
依頼する際には、過去の測量図や契約書面など手元の資料を整理して渡し、費用や期間、成果物としてどのような図面や報告書が得られるのかを事前に確認しておくことが重要です。

売買前の内見や現地調査では、境界標の有無や損傷の有無、塀やフェンス、樹木、雨どいなどが隣地へ越境していないかを丁寧に確認します。
また、隣地側からこちらの敷地へ越境している工作物がないかどうかも、見落とさずにチェックすることが大切です。
もし越境や境界標の欠損など気になる点があれば、早い段階で関係者間で話し合い、売買契約前に対応方針や費用負担の考え方を整理しておくことで、引き渡し後のトラブル発生を抑えやすくなります。

確認場面 主な確認内容 ポイント
現地確認 境界標の位置と損傷 欠損や移動の有無確認
図面確認 登記簿や公図との整合 面積や形状の差異把握
専門家依頼 測量と隣地立会い 成果物と費用の事前確認

不動産売買契約書・重要事項説明で確認すべき境界事項

まず、不動産売買契約書と重要事項説明書では、対象となる土地建物の所在地だけでなく、「どこまでが売買対象か」という範囲と面積がどのような根拠で示されているかを確認することが重要です。
具体的には、登記簿に記載された地積を基準とするのか、実測結果に基づくのか、公簿売買なのか実測売買なのかといった点が明記されているかを見ます。
あわせて、越境物や隣地との境界標の有無、過去に境界確認を行った履歴が特記事項などに記載されているかどうかも確認しておくと安心です。
これらの記載は、将来の境界紛争が起きた際の判断材料となるため、事前に一つ一つ理解しながら読み進めることが大切です。

次に、契約書や重要事項説明書でよく問題となるのが、公簿面積と実測面積の違いです。
登記簿の地積は、古い測量方法に基づいている場合も多く、確定測量を行うと面積に差が出ることがあります。
このため、実測面積を基準に売買代金を精算する「実測売買」と、たとえ実測と登記面積に差があっても代金の増減を行わない「公簿売買」という考え方があり、そのいずれを採用するのかが契約条項で定められるのが一般的です。
特に、公簿売買の場合は、後から面積が違うと分かっても原則として価格精算ができないため、その旨が重要事項説明書と契約書の双方に明示されているかどうかを慎重に確認する必要があります。

さらに、境界が未確定のまま取引を進める場合には、そのリスクをどのように分担するかを契約条項で明らかにしておくことが不可欠です。
例えば、「売主負担で確定測量を実施し、隣地所有者と境界確認を行ったうえで、確定測量図を引渡しまでに交付する」といった内容を特約に定めることがあります。
また、越境が判明した場合の是正方法や、是正が困難なときに売買代金の減額や契約解除を認めるかどうかも、事前に合意し条文化しておくと、将来の紛争予防につながります。
このように、境界や面積、越境に関する条項を丁寧に読み込み、不明点はその場で質問しておくことが、売主・買主双方を守ることにつながります。

確認項目 主な記載箇所 確認する目的
公簿売買か実測売買か 売買契約書の特約条項 面積差の精算有無の把握
境界確定や測量の有無 重要事項説明書の特記事項 境界紛争リスクの把握
越境物の有無と対応方法 重要事項説明書と契約条項 是正方法と責任範囲の確認

境界トラブルを未然に防ぐための実践的な対策

境界トラブルを防ぐためには、まず近隣との日頃からの良好な関係づくりが重要です。
売却や購入の話が具体化した段階で、あいさつを兼ねて境界標や塀の位置についてさりげなく確認しておくと、後々の誤解を減らせます。
その際には、一方的に主張するのではなく、古い図面や過去の説明を共有しながら「一緒に確認したい」という姿勢で臨むことが大切です。
小さな違和感の段階で話し合いを行うことが、感情的な対立や長期化した紛争を防ぐ近道になります。

境界に少しでも不安がある場合は、早い段階で専門家に相談することが勧められています。
国の制度として設けられている筆界特定制度や、各地の土地家屋調査士会が運営する境界問題相談センターなどでは、境界の専門家が中立的な立場で相談に応じています。
また、越境の有無や損害賠償など、法律上の問題が絡むと見込まれる場合には、弁護士に相談することで、適切な解決方法や手続の選択肢を具体的に示してもらえます。
売買契約の前にこうした窓口を活用しておけば、契約後に新たな事実が判明してトラブルになる事態を避けやすくなります。

境界トラブルを防ぐためには、売却・購入を検討し始めた段階から引き渡し後まで、時期ごとに確認する事項を整理しておくと安心です。
検討初期には、登記簿謄本や図面の有無、境界標の状態などを書面で確認し、売買契約前には、実際の現地で境界標と図面が一致しているかを丁寧に見ておくことが重要とされています。
引き渡し時には、隣地所有者立会いの境界確認書や測量図面などを双方で再確認し、その内容を将来の参考として大切に保管します。
このように段階ごとの確認を積み重ねることで、境界をめぐる認識のずれを最小限に抑えることができます。

段階 主な確認事項 ポイント
検討初期 登記簿・図面確認 面積・地積の把握
契約前 現地境界・越境確認 境界標と図面の整合
引き渡し時 境界確認書類の共有 将来紛争防止の証拠

まとめ

不動産売買では、筆界と所有権界の違いを理解し、境界をあいまいにしたまま進めないことが重要です。
境界標の有無や越境、実測面積と公簿面積の差、境界未確定かどうかを、現地調査と書類で丁寧に確認しましょう。
売買契約書や重要事項説明書の境界に関する記載を細かくチェックし、将来のトラブルを想定した条項や合意内容を盛り込むことも有効です。
不安があれば早めに専門家へ相談し、売却・購入の検討段階から引き渡し後まで、段階的に確認を重ねることで、境界トラブルを大きく減らせます。

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